*「或る女」/ 有島武郎
 
結構な長編だったんだけど、
時間を見つけてはどんどん読み進めました。
持ってはいたんだけど、
何だかいかめしい日本文学って感じで、
きっとご立派なご婦人の半生が描かれてるんだろうな〜なんて
全然興味なかったのに、ふと読み始めてみたら・・・!

自分が若く美しく、モテる女だと思いっきり自覚している
気の強いヤな女の一生だった(笑)
病と闘いながらの壮絶な終わり方で読後感は最悪だったけど、
これさえなければとても面白い小説でした。

男心を弄ぶ、あしらう、せせら笑う。
一方で惚れた男には、道を踏み外していくのを知りながら
共に生き、捨てられるのではと怯え、すがる・・・。

その心情風景の細かい、細かい描写があまりにもリアルで、
わかるわかる、とほくそ笑んだり、身につまされたり、
こうはなるまいと思わされたり。

女の情念が余すところなく描かれた、まさに「或る女の一生」。
おそらく主人公が若くして亡くなる(だろう)からこその
自己中心的恋愛感情の描写が主だったけれど、
大往生した女性を主人公にした成熟した女の情愛も
同じ作家さんで読んでみたかったな。

いやいや、
20代も50代も、恋愛の仕方は違っても、
女の心の根本はあんまり変わりないのかも・・・???^^

ISBN:4101042055 文庫 有島 武郎 新潮社 1995/05 ¥700

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